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【鬼さんこちら】 第6話

 16年前、樹嶋家の分家に双子の兄妹が産まれた。
 兄は【桂丞(けいじょう)】、妹は【桂花(けいか)】と名付けられ、大切に育てられた。

 樹嶋家特有の真名属性が純度の高い【黒】が生まれる血筋。
 兄の桂丞は【黒鋭蛇】の真名を受ける。しかし、妹の桂花は 『希少な確率で【青】が生まれる』の伝えに倣った様に、実に30年以上振りの【青】の【青鋭蛇】真名を受けていた。

 純正の【黒】の中では変異種的存在。
 純正に拘るが故、外部漏洩を恐れて【青】の存在を隠され【黒】と名乗る事を命じられていたが、本人は幼さから、その事を不思議には思っていなかった。


 2人は何時も一緒に居た。
 桂丞に「お兄ちゃん」の意識が生まれたのは比較的早く、周囲に隠す事を命じられている桂花の存在力と心情を誰よりも察知していた。
 また、剣術に至っては木刀を振り回しているだけにしか見えなかったが、アートで日本刀物型の【都綺(つき)】の力を加えずとも、その実力は折り紙付きだった。
 桂花を気遣い、傍で護っていた。
 桂花は鎖の物型アート【ザフォリア】を腕に絡めて桂丞に寄り添い、一歩引いた雰囲気を醸し出す控え目な性格の大人しい子供だった。

 艶の掛かった黒髪、海の底の様な藍色の双眸。
 まるで鏡に映した様で殆ど見分けが付かないぐらい似ていた。


 そんなある日、2人は近所に遊びに行くと言って出掛けたが、夜を過ぎても帰って来なかった。
 一族が身を寄せて暮らしているので、アートの探索能力を使い2人を捜索した所、裏手の林の中で2人が倒れていたのが発見されていた。


 目を背けたくなる様な光景だった。


 桂丞は胸元から致死量の出血、桂花は左脚部に刃物で斬られた大きな傷。
 即座に応急措置が施されたが、桂丞は胸部からの致死量の出血により保護される前から既に息を引き取っていた。
 桂花は一命は取り留めていたものの、生きている事が信じられないぐらいの状況だった。




 
 時を遡る事数時間前。
 2人は遊びに行く前に林の方へと向かっていた。


「やぁ、桂丞君に桂花ちゃん。こんな所で何しているんだい?」

 何処からか誰かの声が聞こえ、振り返ると奥の方から眼鏡の男が歩いて来た。
「こんな所で君達だけ歩いてるのは危ないよ?」
 にこにこしながら2人に近付いて来る。
「えっと、2人で秘密の場所に行く所だったの」
「付いて来るなよ、俺達の秘密の場所なんだからな」
 桂花がアッサリと目的地をばらしてしまったので、桂丞が秘密の場所を知られない様に男に注意した。

「付いて来ちゃダメだからな!」
「そうだよ、秘密なんだからね」
 2人がムキになって抵抗する様子が微笑ましい。
「わかったよ。でも、気を付けて行くんだよ?」
「うん!」
 そう言い、2人は男と別れた。










「お兄ちゃん、まだー?」
「もうすぐだよ。ほら、アレ!!」
 桂丞が指差す先に見えたのは、1本の大きな樹木。
 樹の幹を触りながら桂花が頭上に広がる葉を眺める。

「凄く、大きいね」
「そうだな」
 短く言葉を交わすと、黙って樹木を見上げていた。
「桂花、この樹って何だか知ってるか?」
「うん。お母さんとお父さん、いつも話してたもん」
 桂丞の質問に自信満々で答える桂花。
「この樹はねー・・・・・・・」

「ほぅ・・・・・・此処が君達の「秘密の場所」なんだね」

 背後から聞こえて来た声。
 振り返ると、先程出会った男が立っていた。
「・・・・・・さっきのお兄ちゃん」
「あー!付いて来るなって言っただろ!!」
 桂花は驚いた様子だが、桂丞はあれほど「来るな」と言ったにも関わらず追いかけて来た男を怒り出した。
 その直後だった。


『桂丞』
『桂花』


「ん?どうしたんだ、都綺?」
「ザフォリアも・・・・・・どうしたの?」
 2人のアートが突然姿を現しながら2人だけに聞こえる様に呼び止めた。
『この人は危険です』
『何か嫌な感じがします。・・・・・・戻りましょう』
と、2体のアートは口を揃えて戻れと2人を制する。
「・・・・・・桂丞、どうする?」
「うーん、都綺もザフォリアも行っちゃダメだって言ってるしなぁ」
 男に気付かれない様にボソボソと相談する2人。桂丞は暫し首を捻って考える素振りを見せた。
 心配そうに桂丞を見る桂花。
「仕方無いなー。都綺もザフォリアもダメって言うんだからダメなんだろ?んじゃ、明日また来ような」
「うん」
 2人は自分達のアートの言う通り、その場を引き返す事にした。

「俺達、もう帰る。いいか、ココは俺達だけの場所なんだ。だからココに来た事は誰にも言うなよ?」
と、桂丞は男に念を押して注意した。
 男は笑みを浮かべながらハイハイと言う。


「大丈夫だよ・・・・・・・・・来てない事にしたいのは、僕の方だからね」


 そう言うや否や、ポケットに入れていた手の中から何かを取り出し、それを使い横一文字で2人の前で空を切った。
「っ・・・・・・・!!」
「ひゃ・・・・・・・」
 咄嗟の行動に、2人が構えるより先にアートが2人を守った。
「・・・・・・やっぱり、アートが君達を守るんだね」
 男は右手にサバイバルナイフを持ち、笑みを絶やさないでいた。
「正直、桂丞君が居ると厄介なんだよね・・・・・・意外と強いって聞いてるし」
 困った口調だが、浮かべている笑みは変わらない。
「お前・・・・・・何だよ、危ないだろ?」
 桂丞が都綺を構え、桂花の盾になる様に男の前に立ち塞がった。
「危ないのは今だけだよ?」
 そう言った瞬間、持っていたナイフを寸分の狂いも無く桂丞目掛けて投げたが、都綺が防御壁を作ってナイフを弾いた。
「何だよ!!もう許さないからな!!」
 桂丞はそう言いながら、都綺を構えて男に向かって駆け出した。
「都綺、行け!!」
『分かりました』
 男は桂丞の行動を予想していたらしく、身体を半回転させて軸を移動しながら剣戟を交わす。
 そして、左のポケットの中からもう1本ナイフを取り出した。
 最初のバタフライナイフと違い、刃先が鋭利な物だった。
 桂丞を交わした反動のまま、ザフォリアを発動しようとした桂花の腕を掴んだ。

「・・・・・・っ、きゃあああ!!!」

 腕に触れられた瞬間、身体を劈く様な痛みが流れ悲鳴を上げた。
 そして発動しかけたザフォリアが一瞬で姿を消したと同時に地面に倒れた。
「・・・・・・・一番の邪魔物でしたね」
 笑みを崩さないまま、ナイフを持った左手を振り翳した。

 シュッと音が聞こえた途端、桂花の左脚部が鮮血で真っ赤に染まった。
「ぅ・・・・あああぁッ!!!」
 太腿から踵まで一直線に斬り付けられ、血が地面に飛沫した。
「・・・・・・っ、桂花!!!」
 桂花の二度目の悲鳴で振り返ると、そこにはナイフを持っている男と左脚部を血で染めた妹の姿があった。
「お前っ・・・・・・、桂花に・・・・・・・・何しやがった!!」 
 怒り狂った様に、男に向かって叫ぶ桂丞。
 一瞬の隙が出来た桂丞に向かって、持っていたナイフを投げ付ける。
 胸元からトンと言う音が聞こえ、何だと思い下を向くと、胸元に男が投げたナイフが突き刺さったままジワジワと服が赤く染まっていた。

「ぇ・・・・・・・・」

 何が起こったか分からない様子のまま、桂丞は身体を支える力を失って地面に倒れた。
「チッ・・・・・・・余計な手間を・・・・・・・・・」
 男が面倒臭そうに一言漏らした。


「おにい―――――」


 一部始終を見ていた桂花は言葉を失った。
 倒れた桂丞はピクリとも動かない。
「あ・・・・・・・あ・・・・・・・・・・」
 ガクガクと身体が震え、心臓が激しく鼓動を打つ。

「桂丞!!!」

 左脚部を庇う様に地面に背屈ばった状態のまま、倒れた桂丞の元へ向かった。
「桂丞、桂丞・・・・・・お兄ちゃん、ねぇ、起きてよ・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・・」
 何度も身体を揺さぶってみるが、返事は返って来ない。
「桂丞、桂丞・・・・・・・」
 呆然としながら、何度も呼び掛ける。しかし、身体の温かみだけが僅かに残っている状態で、閉じた瞳は開かず返事も返って来ない。
「ぁ・・・・・・あ・・・・・・」
 言葉を失った様に、呻き声を発する事が精一杯らしい。
 ザッと背後で音が聞こえ、振り返ると男が2人を見下ろしていた。
 桂花は倒れた桂丞を守る様に抱えると、桂丞の手から離れた都綺を片手で掴んだ。
『桂・・・・・花・・・・・・・・』
「都綺・・・・・・桂丞が・・・・・・・・お兄ちゃんが・・・・・・・・」
『・・・・・・・・・』
「甲斐甲斐しいねぇ、君達」
 男が口を開くと過敏にビクッと反応してしまう。
「他人のアートは使えないハズ・・・・・・・・だから、コチラにも勝ち目が有るって事かな」
 最初に投げたバタフライナイフと桂丞を突き刺したナイフを手にしながら、再び桂花に向かって振り翳す。



「都綺・・・・・・・お兄ちゃん!!」



 同時に桂花が持った都綺が光り輝き、ナイフを2本共弾き返した。
「え・・・・・・都、綺・・・・・・・・?」

『桂花・・・・・・・・・』

「えっ、都綺?お兄ちゃん・・・・・・・?」
 都綺の中から、聞き覚えのある桂丞の声が脳内に聞こえて来た。

「く・・・・・・・何だか厄介な事になってるな・・・・・・・・・・仕方無い」


 分が悪くなったと判断し、男は踵を返してその場を立ち去った。













登場人物紹介
●樹嶋桂花(きしま けいか)
アート:ザフォリア/物型
●樹嶋桂丞(きしま けいじょう)
アート:都綺/物型

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プロフィール

苑(おん)

Author:苑(おん)
「おん」と読みますが「Bさん」でも可。
ECO・PBM・太鼓とかあれば大抵は幸せな人。
かつて大臣と呼ばれたP.A.S.難民。

【プロフィール詳細】
【リンク詳細】

【ECO】
ECOはフリージアのみ稼動。声掛け歓迎。
ピッグーが好き過ぎて辛い。
二次創作サイトは此方。
参加キャラ(自前リング「弐界戯曲」所属)

1st:トセット 天/♀/槍
トセット

2nd:シロフォン 人/♀/農
シロフォン

3rd:ハネウタ 天/♀/魔
ハネウタ

4th:ラピメント 人/♀/商
ラピメント

5th:樹嶋朔刃 悪/♀/剣
樹嶋朔刃

6th:樹嶋笹女 人/♀/巫
樹嶋笹女

7th:王瀬・ラピメント 悪/♂/商
王瀬・ラピメント

8th:桂丞 悪/♂/隠
桂丞

9th:滝里心露 人/♀/冒
滝里心露

10th:徐泪耶 人/♂/鉱
徐泪耶

11th:マルカート 天/♀/癒
マルカート

12th:ナタルマ 天/♀/闇
ナタルマ

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